施設運営方針とコンセプト:
どのような建物でも設計者だけで設計できるものではありません。建物を利用するそれぞれの人の立場や役割により要求される空間や機能そして行動する動線なども様々です。
特にグループホーム・通所リハビリテーション・デイサービスなどの介護やサービスがともなう建物の設計は、管理・運営や介護・サービス方法・方針によって、各諸室の面積配分やレイアウト、動線計画などが、いかようにも変化します。
そこで必要となるのがそれらの優先順位を決めるための経営哲学や事業方針、管理・運営方針です。
この建築計画で1番に考えられたことは、都市的空間、いわゆるビルの中にあるグループホームと通所リハビリテーションではあるけれども、建物に入ってみるとどこの空間も明るく、屋外空間を感じることのできるものにしたい、ということでした。
そして、ユニット(生活単位)は6人にして家族的家庭的環境を作り出し、さらにこの建物を利用されるお年寄りの方々に豊かな体験をして頂けるように、また自分の好きな場所を見つけてもらえるようにしたいということでした。
デザインコンセプト:
グループホームは1ユニットごとに管理が出来ることが求められ、同じ建物内ではありますが、分離しなければなりません。
そこで本計画では、デイケアからグループホームの各ユニットまでを、つなぐ空間として、また採光の確保として、建物中心に、大きな中庭を設けました。
また2階と3階に、視線的につながる中庭を設けることで、デイケア(2階)とグループホーム(3、4階)それぞれの接地性を高めました。
中庭の中心には、上下をつなぐ螺旋階段があり、管理を分離しながらも、動線的にも回遊性を持たせています。
見守れながらの利用者の自主性を重んじたプランとなっています。
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